傘の製造工程
1.木型作り・へりかけ
まずは三角形の木型を手作りします。
生地はそれぞれ伸縮率が異なるため、美しいフォルムが出るまで何度も傘を試し張りして幅やカーブの微調整をし、専用の木型が完成します。
傘の端にあたる部分を、三つ巻き(三つ折り縫いにする道具)に通しながらミシンにかけます。
2.検反・裁断
検反機で透かし、糸抜け・キズ等がないか光をあてて検品します。
反物を広げ交互に木型を当てて刃包丁で生地を裁ちます。
カットした三角形の生地を駒(こま)と呼びます。
はじいた駒も傘袋やネームバンド等に使用し、無駄が出ないよう努めています。
3.中縫い
専用のミシンで三角形の辺同士を縫い合わせていきます。
8本骨なら8枚というように、親骨の数と同じ枚数の駒を使用します。
少しのずれでも一周すると大きなずれとなり張りが悪くなってしまう為、熟練した技術が必要となります。
中縫いが完了したものをカバーといいます。
4.天かがり
中棒の石突き部分からカバーをかぶせ、差したときに天井になる部分をかがっていきます。
ほつれ防止と雨漏り防止のために行われる大事な工程です。
5.口とじ(露先取付け)
カバーの端に露先(針の透る穴の開いた筒状の金具)を縫い付けていきます。
指先の感覚一つで仕上がりに差が出る作業です。ここではじめて傘の形になります。
折り畳み傘など、露先が骨と一体型になっているタイプもあります。
6.中とじ
カバーと骨を固定するために縫い付けていきます。
親骨1本に対し2ヶ所ずつと大変な作業ですが、しっかり2~3重巻き付けてかしめて留めることで丈夫で故障の少ない傘になります。
7.菊座・陣傘つけ
雨漏りを防ぐために傘の頂上に菊座(菊のような形をした布のパーツ)と陣傘(円錐型の筒状の金具)をかぶせます。
陣傘は中棒の口径に合わせて隙間が出来ないようハンマーで打ち付けすぼませて釘で留めます。
8.手元付け・検品
最後に手元(持ち手部分)をボンドで取付けます。
簡単に外れないよう、中棒にたこ糸を巻き付けその上からボンドを塗りしっかりと固定します。
はじき(開閉時に押すストッパー部分)の位置により手元の曲がりの向きは決まっています。ボンドが完全に固まれば、傘の完成です。
製造時・入荷時・商品札取付時・出荷時と、幾度となくプロの目による検品を重ね、不良品の削減と高品質の維持に努めています。